ビックの心強い参入
銀行に取引を通じて住所、氏名、その同一性を確認されている人も取引先になりますが、少額の現金で普通預金を開設し、同時または直後に線引小切手を入金するような楊合は取引先とはいえません。
事実、不正に入手した線引小切手の資金化のために、こうした手口がよく使われることがあります。
数年間当座以外の預金口座の出し入れがない場合も同じです。
銀行の取引先であればよいので、自店だけではなく、他店であっても取引をしていることが明らかならば取引先といえますが、取引以外の方法、たとえば単に銀行に出入りする業者であるとか、取引先の会社の役職員であるというだけでは取引先とはいえません。
支払い制限に違反した銀行の責任
支払銀行が線引小切手の支払い制限に違反して小切手を支払ったために、正当な所持人が損害を受けた場合には、当然その賠償責任を負わなければなりません。
小切手法によると、この賠償額はその小切手金額を限度とすると定められています(小切手法三八条五項)。
この特別責任が認められているとはいっても、銀行に契約上または不法行為上の賠償責任があるときには、被害者はどちらの責任を追求してもよいことになりますから、銀行は小切手金額以上の責任を負う場合もでてきます。
しかし、特に注意しておかなければいけないのは、たとえ線引制度における支払い制限に違反したとしても、小切手上の行為の効力そのものには影響がありませんので、相手方が正当な権利者であれば、格別問題は起こらないことです。
したがって、銀行が所持人の素性、小切手振り出し原因、流通経路を調査し、盗難、紛失その他の事故のない小切手であることを確認できれば、線引小切手によって取引先でない人に支払ったとしても問題がないわけです。
事実、銀行の営業活動においては、出土地代金などが線引小切手で支払われ、銀行の渉外担当者がそのことを確認している聞有力取引先の紹介で線引小切手による口座開設の申し出があった圃自行取引先が振り出した線引小切手であり、振出人に照会したところ、振り出しの確認がとれているなどの場合には、支払い制限に違反していても、小切手の取得に問題がありませんから受け入れることも考えられます。
線引の抹消、変更は可能か一般線引を特定線引に変更することはできますが、特定線引を一般線引に変更することはできません。
また、線引を抹消したり、特定線引における指定銀行名の抹消も許されず、たとえ抹消したとしても、抹消していないものとして取り扱われます。
つまり、制限を厳しくする方向での変更だけ許されるわけで、緩和する抹消、変更は認めないということです。
もちろん、一般から特定への線引変更を認めても、小切手の支払いを受けることができる人を、指定された銀行かその取引先に制限することになるから、小切手を拾得、横領、盗取した不正な取得者が支払いを受ける危険はさらに少なくなるためです。
また、この逆に、特定から一般への線引33変更を認めないのは、特定線引によって支払いを受ける資格を「被指定銀行かその取引先」に制限したのを、この変更を認めると、「他の銀行または支払銀行の取引先」に緩和することになって、特定線引をした者の意図に反してしまうからです。
線引をめぐる二つの問題
線引小切手にっいてひととおり説明したところで、これに関連する二つの特殊な問題を取り上げてみましょう。
複数の特定線引がある場合の問題と線引小切手の振出人による裏判押捺の効果の問題です。
の複数の特定線引がある小切手特定線引は、特定の指定された銀行か、その銀行が支払銀行の場合は取引先にだけ支払いをすべきものとする趣旨なので、複数の特定線引ができるとすると、どれが正当なものなのか判別できなくなり、特定線引の趣旨が失われてしまいます。
そのため、数個の特定線引のある小切手は、小切手法により、支払うことができないとされています(小切手法三八条四項)。
ただ、これには一つの例外があります。
それは、二個の特定線引がある場合において、そのうちの一つが、手形交換所における取り立てのためになされたものであるときには、取り立てを頼まれた銀行に支払うことができるというものです。
この立法趣旨については、手形交換所に参加していない銀行が指定された場合には、その手形交換所における取り立てのために、手形交換所参加銀行を被指定銀行とすることを認めて、手形交換決済の便宜をはかったものと考えられています。
つまり、特定線引小切手の被指定銀行は、他の銀行にその小切手の取り立て委任をすることができるので、取り立て委任の方法を利用すれば、もちろん取り立てることができますが、交換取り立てに関しては、特定線引の方法によってもできるようにしたものといわれています。
この場合には、二個目の特定線引に「(手形交換所における)取り立てのため」とでも記載する必要があるはずですが、実務においては、ただ二個の特定線引が行われているだけです。
これには理由があって、手形交換所規則により、手形交換に持ち出す手形、小切手には、すべて持ち出し銀行が明らかになるように、特定線引判を使って持ち出した銀行、店名を表示することが、参加銀行の義務とされているので、小切手の場合には、どうしても二個の特定線引が表示される結果になってしまうのです。
もっとも、手形交換では、手形、小切手の裏面に必ず交換印を押して持ち出すことになっていますから、交換印と二個目の特定線引の銀行名は一致しているはずであり、交換取り立てのための特定線引であることははっきりしているといえます。
なお、特定線引は手形交換所における取り立てのためのものを含めて二個に限られますから、三個以上の特定線引がある小切手を支払うわけにはいきません。
ただ、小切手が同じ銀行内で取り立ての都合上転送されることがあり、その場合に同じ銀行の異なった営業店表示の特定線引が二個生じたり、小切手の代理交換の関係上、受託銀行の特定線引にカッコ書きで委託6銀行の略名表示がなされていたりすることがあります。
いずれの場合も、特定線引としてはI13個であるといえます。
線引小切手の裏判による支払い
線引小切手の線引は、いったん表示すると、これを抹消できないのは前述したとおりです。
正当な権限をもつ所持人が、線引あるいは被指定銀行の名前を抹消しても、抹消したことにはなりません。
銀行から小切手用紙を受け取った場合には、振出人としては、用紙のままで紛失または盗難などの事故に遭う危険も考えられますから、すみやかに一般線引をしておくのが普通でありましょうし、望ましいことともいえます。
ところが、そうすると線引小切手で支払った場合、小切手の受取人はいったん自分の取引銀行にその小切手を入金して取り立ててもらう必要があり、至急おカネが欲しいときには、間に合わないということも生じてきます。
それに、現在では銀行取引をもたない法人、個人はまずないと考えてよいでしょうが、ほかの地方から集金に来た人が現金を欲しいときなどには、線引小切手をもらったのではすぐには資金化の方法がないことになります。
線引小切手に関するこのような不便を解消する方法として実際に行われているのが、振出人による線引小切手の裏面に、当座勘定取引用の届出印を押捺する慣行です。
前にもふれたように、線引小切手であっても、正当な権利者に支払われるならば、何も問題はないはずです。
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線引をめぐる二つの問題
線引小切手にっいてひととおり説明したところで、これに関連する二つの特殊な問題を取り上げてみましょう。
複数の特定線引がある場合の問題と線引小切手の振出人による裏判押捺の効果の問題です。
の複数の特定線引がある小切手特定線引は、特定の指定された銀行か、その銀行が支払銀行の場合は取引先にだけ支払いをすべきものとする趣旨なので、複数の特定線引ができるとすると、どれが正当なものなのか判別できなくなり、特定線引の趣旨が失われてしまいます。
そのため、数個の特定線引のある小切手は、小切手法により、支払うことができないとされています(小切手法三八条四項)。
ただ、これには一つの例外があります。
それは、二個の特定線引がある場合において、そのうちの一つが、手形交換所における取り立てのためになされたものであるときには、取り立てを頼まれた銀行に支払うことができるというものです。
この立法趣旨については、手形交換所に参加していない銀行が指定された場合には、その手形交換所における取り立てのために、手形交換所参加銀行を被指定銀行とすることを認めて、手形交換決済の便宜をはかったものと考えられています。
つまり、特定線引小切手の被指定銀行は、他の銀行にその小切手の取り立て委任をすることができるので、取り立て委任の方法を利用すれば、もちろん取り立てることができますが、交換取り立てに関しては、特定線引の方法によってもできるようにしたものといわれています。
この場合には、二個目の特定線引に「(手形交換所における)取り立てのため」とでも記載する必要があるはずですが、実務においては、ただ二個の特定線引が行われているだけです。
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線引小切手の線引は、いったん表示すると、これを抹消できないのは前述したとおりです。
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